平成24年8月19日 【日曜日

昨年7月に訪れた隠し沢で衝撃の光景を見せつけられたお気に入りの沢。
それは無残に捨てられた200〜300ほどの岩魚のワタでした、それは長年に渡って私の心を癒してくれた愛しい岩魚達のあまりにも
惨めな光景でした、それから暫らくして7月の後半に襲った新潟から群馬北部にかけての記録的な豪雨。
心配しつつ何もできない自分に歯痒さを覚えながら今年やっと確認に向かうことが叶いました。
本日そのサポートをして頂いたのが釣り友『子持ちのFCさん』であります。
FCさんとは過去に五合目辺りまで入って頂いた事が有りますが、その時は雨で撤退を余儀なくされました。

幸いに本日の天気は晴れ、雨の心配もありません。
FCさんと意気揚々に沢の入り口まで辿り着けばなにやら異臭、渇水で川底に生えた藻が異臭を放っていたのです。
登り行けば余りに無残な様相、杣道は崩れ落ち、小さな峪は土砂で埋まり、恐る恐るの遡行でした。
それでも一縷の望みを賭け2人で竿を出して見ましたが、生命反応は全くありませんでした、そう流れは死んでいたのです。

         
                      【何度となく手を差し伸べてくれた子持ちのFCさん】

この小さなV字峡に流れ込む土砂を想像すれば生き物など全て流される事は必至でした、渓相が変わるほどの濁流はどんな機敏な
岩魚でも土砂と一緒にこのトイ状の流れと共に押し潰されたことは見てとれました。
それでもロープを頼りに八合目辺りまで望みを託してなんとかやってきたのですが、そんな気持ちも折れました。
FCさんにこの小さな落ち込みで魚信が無かったら戻ろうと、最後の一振りに賭けましたが・・・終わりました。

         FCさん撮影
                    【この峪最後の脈とり・・・最後まで脈はとれませんでした】

恐らく私が生きているうちの再生はないかと思います、下流からの溯上には伏流水の中を20m、10mの直滝を1本、
6mの直滝を2本、これを掻い潜る岩魚などあり得ません。

         
                   【雅の峪、小さなV字峡、いままでありがとう、永遠にさらばです】

ただ永年、根こそぎ族の毒牙に晒されるのならばいっそこれで良かったのではと悲しい思いにも。
FCさん曰く、ロープが無かったら2度死んでいたと、・・・私は5度でした(汗)

途中降る筈のない雨が降ってきたのは別れの雨なのか・・・!

今回の小さなV字峡を巡るに付けて行く度か手を注し出して頂き、大変お世話に成った子持ちのFCさん
FCさんには帰り道に寄った沢で泣尺を掛けて頂き、無念の気持ちを抑えてもらえました。
心に一つ穴が開きましたが、これもまた自然の摂理、止む負えません。
本日は本当にありがとうございました。

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