平成27年11月1日 【日曜日】   2015

先週は余りの爆風と寒さで散策を断念し本日に持ち越した次第です。
内容は今後如何なる対応をせねば成らぬかしっかりと日記に書き記し、後々の為の散策備忘録としたいからです。

赴く先は奥利根方面、早朝沼田大橋の電光掲示板は1℃を表示し谷川山塊頂上は薄っすらと雪を纏っていた。
季節はもはや冬、渓魚達にとっては束の間の安堵の日々から計り知れぬ苦難の時季へ突入でしょうか。

この川は私の隠し沢の1本で大変貴重な流れでした、それが平成23年の夏に記録的な大雨を受けで壊滅的な被害を被ったのです。
細いV字峡は雨樋となり全ての岩魚を葬り去り死の川へと変貌してしまったのです、翌年に子持ちのFCさんと確認に入ったのですが生命反応は皆無でした。
根こそぎとて全ての岩魚を釣り切ることなどできる筈もなく、例え毒流しでも上流域に至っては危害は及びません、必ず残るのです。
この年の大雨は流れに息づく生物達を根底から落とし流してしまったのです、それでも一縷の望みを持ち4年経った本日散策に分け入ったのです。

現地入りし先ず怖かったのは崩壊した取り付き口でした、取り付いてもし崩れたなら滝下まで落ちます、同行したことのある仲間なら分かりますよネ。
そっと這い上がり念の為に10mm10mのザイルを立ち木に括り帰路に安全に降りられるようにしておきます。
なんとかここを無事に通過し沢を登り詰めて行きます、相変わらず流れは死んでいる様でポイント毎に50匹持参したブドウ虫を投げるも反応はありません。
流れは濁り昔の面影もありませんでした、当然のことながら底石は黒苔に覆われ遡行を妨げられます、沢通しで帰路に付くのは危険です。
ましてや朝露で崖沿いの枯葉が濡れ非常に滑り沢沿いを辿ることも容易くないのです。

途中高度を大幅に上げる胸突き八丁をやり過し尾根を越え桃源郷に降り立ちました、昔はこんな感じで夢のようでした・・・
ここを暫く辿り歩き生命反応を確認して見たのですが厳しかったです、恐らくあの大雨の余波で湧き水の水路が断ち切られ浄化作用もままならぬまま
今に至っていると思われます、源流独特の透き通った水の匂いもなく底石を剥がしても水生昆虫の痕跡すらありませんでした
ただ、ただ1度だけ投げ入れたブドウ虫を突付かれた様な気配がしたのは私の錯覚だったのだろうか、望む気持ちがそうさせたのだろうか?

以前ならこの細い流れを源頭まで釣り上がるには2時間掛かりましたが今日は源頭まで届かず辿るだけで2時間半も掛ってしまいました。
流石に自然の摂理とやらに望みを託した己の甘さに失望しました、では今後この流れに岩魚達を解き放つ覚悟が有るのかと問われたなら
・・・ないと答えるでしょう、この流れの水は飲めません、そんな流れに岩魚を解き放つなど釣り人として到底出来兼ねることでしょか。

これ以上は危険と判断し杣道に上がりましたが、所々の崖が崩れて杣道が朽ちています、しかも滑るので流石にビビリます。
ピンソールを装着しまるで亀の様にゆっくりとしたスピードで辿りました、言えることはいままでで一番危険な散策だと言うことでしょか。
oldflymanさんにも行き先を伝え家内にもハッキリと今回は詳細な足取りを伝えてあります、自分でも心配だったのでしょう。
取り付き口に降り立った時は立木を握り締めて辿ったせいか指先が赤く腫上がり棘だらけでした、車止めに戻るまでは痛みなど気付きませんでした。
それほどに緊張していたのでしょう、良くぞこんな思いまでして散策に赴いたものです。
ただ自然の猛威に晒され朽ちるまでの生き様を見届けられたことが己に対する慰めでしょか。
10年を目途に再生を夢見ていたのですが、この先あの流れに降り立つことも己の年齢を考えると最終章と言わざるを得ないでしょう。

辿る道幅が細くて頼りない

【入渓口から暫くは沢沿いに辿り歩く、沢底まで20m】

ならくの底とは良く言ったものだ!

【50度の急斜面を一気に30m登り尾根の頂きにて小休止、ここまでがきつい!】

以前はこんな所にも尺がいたのです!

【源頭まで行き着かないが平水量の少なさに湧き水が流入していない事が判明、これにて断念】

帰路を考えると気が重くなる(笑)

【沢沿いに上がり、登ってきた沢を振り返る、己のちっぽけさを思い知るが満足度は計り知れない!】

ちょっと滑ったら終わりなんて考えず先に進みます!

【杣道は崩れ落ち、落ち葉に足を取られながら恐々と辿る己が滑稽で嘆かわしい、改めてピンソールの威力を称える!】

なんとか無事にこなせました、後は降り口で完了!

【ここを降りればもう直ぐ入渓口だ、今度はザイルがあるので一安心!】


こうして夢の桃源郷がまた1つ手の内から転げ落ちて逝った。




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